私が普段仕事をしている場所は、校長室です。
職員室にもデスクはありますが、一日の大半は校長室で過ごすことになります。
教頭をはじめとする先生方が、報告や相談に来ることが多いのですが、打合せなどで使うこともあります。
生徒が大会の報告や、受験の結果などを知らせに来てくれることもありますし、大学受験の面接の練習をすることもあります。
授業があるときには、校長室を出て、校内を歩き回るのですが、休校中の今はそれができません。
ここ最近は、デスクに座って一人で考える時間が多くなってしまいました。
机から顔を上げると、阿弥陀如来の仏像が目に入ってきます。
本校では、浄土宗を開かれた法然上人の生き方を建学の精神としています。
とはいえ、浄土宗を広めることを目的としているわけではなく、その教えを教育の基本としているのです。
浄土宗とは、阿弥陀仏の平等のお慈悲を信じ、「南無阿弥陀仏」とお念仏をとなえて、人格を高め、社会のために尽くし、明るい安らかな毎日を送り、お浄土に生まれることを願う信仰です。
そして、そのご本尊が、阿弥陀仏です。
考えに行きづまったときには、一度立ち上がって阿弥陀様の顔を拝むことにしています。
両手を合わせて合掌し、ゆっくり呼吸しながら、心を落ち着かせるように努めています。
そうすると、良い考えがすぐに浮かんでくるわけではありませんが、少なくとも冷静になることができます。
いわば、私にとってのルーティーンになっているのです。
私自身は、3年前より僧侶の資格を得るための修行に入っています。
毎年、夏の3週間、外界との一切の連絡を絶って、大本山で教えを得るための行に打ち込みます。
3回の夏の修行は終わり、最後の仕上げの修行を今年の冬に控えているところです。
僧侶の資格を得ることが、直接的に教育活動に影響を与えるわけではありませんが、利他精神(他者への思いやりの気持ち)を重んじる教えを学ぶことは、教育に携わる立場として、参考になることが大変多くあります。
最後まで修行をやり遂げ、今後の教育活動に生かしていきたいと思います。
自分の心を落ち着かせるルーティーンがあることは、何よりも心強いことです。
これから先も、先の見えないの今の状況に対して、様々な判断が求めてきます。
そんなときこそ、心を落ち着けて、常に冷静でいられるように、心を磨いておきたいと思います。