読解力をつけよう。

オンライン授業での質問やトラブルに対応するフォローアップ週間も今日で2日目。
生徒たちは学年、クラス別に決められた時間に三々五々登校してきます。
登校途中の生徒と話をしてみると、家庭での様子が何となく透けて見えます。
家庭では中々集中できないことや、気付くとゴロゴロしている様子などを話してくれました。
それでも生徒たちを一概には責められません。
彼らには何の罪も無いのですから。
何とかやる気を保ち、一緒にこの難局を乗り越えていきましょう。

テレビでニュースを見ていたところ、ドイツを拠点に活躍を続ける芥川賞作家の多和田葉子さんがこんなことを言っていました。
「新型コロナウイルスは、全世界に課せられたテストだ」
世界中のどの国も経験したことがない今回の緊急事態。
日本はもちろん、それぞれの国がそれぞれの戦略で対策を進めています。
そこには、たった一つの正解というものは存在していません。
特別な制限を設けずに集団免疫獲得を目指すスウェーデンのような国や、徹底した行動制限により封じ込みを図るアメリカやヨーロッパ諸国など、それぞれの国々が独自の対策でウイルス感染の終息を目指しています。
とかく日本のPCR検査数の少なさがやり玉に挙がりますが、この対策が正しかったのか、間違っていたのかは歴史だけが教えてくれます。
それは今から5年後か、10年後か・・・誰にもその答えは分かりません。
一番大切なことは、今進めている対策を信じて、徹底していく以外に道はありません。
自粛疲れが至る所に表れつつありますが、長丁場となることを半ば覚悟して、毎日を過ごして欲しいと思います。

テストというと、日本の数学者で国立情報学研究所教授である新井紀子さんは、著書の中で、日本の中高生の読解力は危機的状況にあると書いています。
多くの中高生が教科書の記述を正確に読み取ることができていないと言うのです。
著書のタイトルは、「AI vs. 教科書が読めない子供たち」。
読んだことがある人も多いのではないでしょうか。
その中で新井さんは、今後10~20年後、多くの仕事がAI(人工知能)に取って代わると予測される中、人間にしか持ち合わせない一を聞いて十を知る能力や応用力、柔軟性、既成概念にとらわれない発想力などを備えていれば、AI恐るるに足らず、と書いています。
そして、そのベースになるのが読解力だというのです。
新井さんが考案したリーディングスキルテスト(RST)の問題をいくつか見てみましょう。
皆さんも一緒に考えてみてください。

【1】次の文を読みなさい。
  「仏教は東南アジア、東アジアに、キリスト教はヨーロッパ、南北アメリカ、オセアニアに、イスラム教は北アフリカ、西アジア、中央アジア、東南アジアに主に広がっている。」

   Q.この文脈において、次の文中の空欄に当てはまる最も適当なものを選択肢のうちから1つ選びなさい。
   
    「オセアニアに広がっているのは(     )である。」
        ①ヒンドゥー教     ②キリスト教     ③イスラム教     ④仏教

【2】次の文を読みなさい。  
  「Alexは男性にも女性にも使われる名前で、女性の名Alexandraの愛称であるが、男性のAlexanderの愛称でもある。

     この文脈において、次の文中の空欄にあてはまる最も適当なものを選択肢のうちから1つ選びなさい。

    Q.Alexandraの愛称は(     )である。 
        ①Alex    ②Alexander     ③男性     ④女性

【3】次の文を読みなさい。
  「幕府は1639年、ポルトガル人を追放し、大名は沿岸の警備を命じた。」

   Q.上記の文が表す内容と次の文が表す内容は同じか。「同じである」「異なる」のうちから答えなさい。
   
    「1639年、ポルトガル人は追放され、幕府は大名から沿岸の警備を命じられた。」
        ①同じである     ②異なる     

リーディングスキルテスト=読解力テストというと、少し緊張してしまったかもしれませんね。
それでは正解を見てみましょう。
     【1】②キリスト教     【2】①Alex     【3】②異なる

結果はいかがだったでしょうか。
文章自体はそれほど難しくありませんが、解答するとなると迷ったり、間違ってしまった人もいたのではないでしょうか。
これらは実際にRSTで出題された問題ですが、中学生/高校生の正解率はそれぞれ、①62%/72% ②38%/65% ③57%/71% だということです。
思っているよりも、間違えた人が多いのですね。
新井さんはこのテストの結果を見て、日本の中高生の読解力の低下を憂いています。
今回のテストのように、正解がある問題には、練習や訓練を重ねることで対応することが可能です。
読解力は語学の勉強だけでなく、日常生活においても欠くことのできない能力です。
今回のテストを機会に、読解力の向上を図って欲しいと思います。

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