今日は少しだけ、暑さが和らいだ一日になりました。
6日のブログに、「広島原爆の日」について書きました。
広島に投下された原爆により、お亡くなりになられた方々を慰霊する日です。
爆心地の近くには恒久の平和を祈るための「平和記念公園」があり、原爆ドームや広島平和記念資料館、国際会議場などがあります。
この平和記念公園は、私にとっては、原爆とは全く別の思い出がある場所です。
今から30年前、世の中にはバブル景気の余韻がまだ残っていたため、大学生の就職活動は完全な売り手市場。
様々な業界、会社から内定を得ることが当たり前の時代でしたので、私も10社以上の会社から内定を得ることができました。
同時に、もともと教員志望だった私は、公立高校の教員採用試験も受験し、何とか合格することができましたが、教員か、一般企業か、二つの選択で悩みに悩みました。
いずれは教員の道へ進みたいと思っていましたが、その前に一般企業での経験を積んだ方がより人間的に厚みが出るとのアドバイスもあり、一般企業への就職を決めました。
そして、JTBという旅行会社へ就職し、社会人としての生活が始まりました。
JTBでは、教育旅行課に配属され、修学旅行の企画、営業、添乗業務を担当することになりました。
とはいえ、入社1年目の私が一人でできることはほとんどありません。
1年目の大半は、先輩社員との同行セールスや企画のイロハを勉強する日々でした。
そして、最も勉強になったのが修学旅行の添乗業務でした。
添乗員=ツアーコンダクターと言うと響きはいいのですが、修学旅行の添乗員は、どちらかというと体力勝負の仕事です。
大人数の中学生や高校生を時間通りに誘導するためには、大きな声を張り上げなければなりません。
大量の入場券を先回りして購入するためには、走り回らなければなりません。
引率の先生方の負担を軽減するためには、それ以上の気を遣わなければなりません。
一回の修学旅行は、中学校で2泊3日、高校生では4泊5日が基本で、春と秋の旅行シーズンは毎日のように添乗業務が続きました。
入社1年目の私にできることは、とにかく一生懸命動くことだけでした。
一生懸命声を出し、一生懸命走り回り、一生懸命サポートをする。
その仕事ぶりが、どのように先生方や生徒さんに映るかなど考える間もなく、とにかく必死に動き回っていました。
同行した学校様はもちろん、先輩社員にも迷惑をかけられないとの一心だったことを今でも鮮明に覚えています。
その年の秋、ある学校の添乗員として、広島を訪れる機会がありました。
自分の修学旅行で行って以来の広島だったので、観光地などの地理は全く記憶にありません。
事前の打ち合わせ通りに、団体を誘導し、チケットを渡し、集合場所へ案内する、そうした業務を必死にこなしていました。
その後、指示されていたとおりに、広島平和公園で分かれて、チェックインのために一足先にタクシーでホテルへ向かいました。
ホテルに着いたので料金を支払ってタクシーを降りようとしたとき、ドライバーの方に言われた言葉が忘れられません。
「あんた、いい顔して仕事しているね!」
何も分からずに、無我夢中で必死に走り回っていた自分に、初めて会ったドライバーさんがそんな言葉をかけてくれました。
私は何だか自分が報われたような気持ちになって、とても感激してしまいました。
何でもいいから、とにかく一生懸命に頑張っている姿は、人にも伝わるものだと実感しました。
その後も何かにくじけそうになると、その時の言葉が蘇ってきます。
自分は今、「いい顔」をして仕事をしているか!?
常にそんなことを考えて、今に至っています。
何才になっても、どんな立場になっても、「いい顔してるね!」と言って貰えるような生き方をしていきたいと思います。
広島平和公園は、ある意味で、私の仕事の原点の場所です。