最後の夏。

今日は8月22日、第2回目のトップアスリートクラブ見学会が行われました。
そして、硬式野球部にとっては決戦の日となりました。
北部地区優勝を果たした硬式野球部が、狭山ヶ丘高校との準決勝に挑みました。
舞台は所沢市にあるメットライフドーム(旧西武ドーム)、プロ野球で使用する人工芝の全天候型球場です。
埼玉西武ライオンズ球団から、県内の高校球児たちのために、準決勝、決勝での球場の無償使用を申し出ていただいたそうです。
その心意気に、感謝の言葉もありません。
高校野球への熱く、温かい思いを感じてしまいます。

6年ぶりの県ベスト4進出となった硬式野球部。
私も準決勝の試合は見届けたいと思い、選手たちと一緒に学校からのバスに同乗して球場入りしました。
3年生と登録メンバーが乗った球場までのバスの車中は、とてもリラックスした様子でした。
変な緊張感も無く、いつも通りの温かい雰囲気に包まれていました。
球場到着前、車中で田中監督から感謝と激励の力強いエールを贈られ、戦いの準備も万端に会場入りしました。
プロ仕様の球場は開放感と緊張感にあふれ、この場所で戦える選手たちがうらやましくなりました。
今回の応援は、感染防止のために人数制限があり、会場での応援は3年生の父母会の方だけに限られてしまいましたが、テレビ放送される画面の向こうでは、多くの保護者や在校生や教職員、その他多くの応援団の皆さんが声援を送ってくれているはずです。
甲子園の代替大会として行われる各県独自の大会も、試合を残しているのは埼玉県と神奈川県の準決勝、決勝のみ。
そうです、全国で今野球ができている高校3年生は、全国で8校だけなのです。
この幸せを噛みしめながら、試合に臨んでくれることを期待していました。

試合は今大会初の後攻となった本校が、1回裏に先制し、幸先よいスタートを切りました。
前戦で打球を足に受けたピッチャーの北田君の様子が気になりますが、いつもと変わらず落ちついて投げています。
その後、5回に1点を返され、給水タイムに入りました。
行きのバスの中で、田中監督から「給水タイム後に試合が動くことが多い」と話を聞いていたので、注目していた6回。
その言葉を聞いていたかのように、狭山ヶ丘高校の打線が当たり始め、気付いたら5点を取られてしまいました。
しかし、逆転されても選手たちは意気消沈することなく、明るく、生き生きと挽回を図ってプレイしていました。
最後の最後まで試合をあきらめることなく、全力で巻き返しを図っていきましたが、その後さらに1点を取られ、最終スコア2対7での敗戦となってしまいました。
6年前に続いて、ベスト4の壁に跳ね返される悔しい結果となりました(涙)。

勝負に勝ち負けはつきものです。
勝つチームがあるから、負けるチームがあるのです。
最終的に負けずに終わるチームは、たったの1チームだけなのです。
だから、堂々と胸を張ってください、埼玉県で3位の成績です。
そしてそれ以上に、高校野球ができる最後の夏を、最後の最後まで全力で戦ったのです。
新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、練習ができない日々を乗り越え、この夏に向けて準備を整えてきたのです。
その努力を続けられたことに、大いに自信を持って下さい。

学校へ向かう帰りのバスの車中、最後に田中監督が声を詰まらせながら、生徒たちへ伝えていました。
「5月に甲子園大会の中止が決定した後も、気持ちを切らさずに本当によく頑張ってくれた。それは他の多くの学校についても同様で、多くの学校がこの大会にここまで本気で臨むとは思っていなかった。ここまで本気で取り組む高校球児は本当にスゴい。高校野球の凄さを改めて思い知らされた。頑張ってくれたみんなには、心から御礼を言いたい。本当にありがとう!」
「今日家に帰ったら、ここまで野球をやらせてくれたお父さん、お母さんに自分の口でしっかりと御礼を言いなさい。感謝の言葉を自分の言葉で伝えなさい」
涙を流しながら聞く生徒たちの心にも、きっと様々な思いがあふれていたことと思います。
この悔しさは後輩たちが必ず果たしてくれるはずです。
夢の続きは、それまでお預けですね。

野球部の3年生の保護者の皆様、3年間本当にお疲れ様でした。
そして、ありがとうございました。
最後の夏は例年と全く違う夏になってしまいましたが、変速的な非常事態の中でも、生徒たちは本当によく頑張ってくれました。
与えられた状況の中、全力で、本気で、必死に頂点を目指してくれた生徒たちを、校長として本当に誇りに思います。
3年生にとっての高校野球は、今日で終わりになります。
もしかしたら、本気でプレイする野球が今日で最後という生徒もいるかもしれません。
それは保護者の皆さんにとっても同様でしょうか。
幼少期から野球を始めたご家庭も多いことと思います。
初めてのヒットに大喜びした思い出や、初めて背番号をもらった時の感激など、忘れられない思い出は数知れないことでしょう。
レギュラーになれなかった悔しさや、メンバーから外された挫折感を味わった方も多いかもしれません。
大学で野球を続ける生徒を除いて、勝負としての野球は今日で終わりになるご家庭が多いと思います。
しかし、人生はまだまだ続きます。
野球とは異なり、人生には勝ち組、負け組はないと私は信じています。
野球を通して学んだ多くのことは、これからの人生で間違いなく生きてくるはずです。
喜び、悲しみ、悔しさ、緊張感、不安、達成感、充実感、挫折感、孤独感、満足感・・・。
これら全ての感情や心情は、今後の人生に繋がっていくはずです。
父母会長の藤村さんと試合前にお会いした時、「今日の試合に勝って正智の歴史を変える」とお話ししてくれました。
歴史が変わるかどうかは、勝ち負けで決まるものではないと思います。
この試合の結果が、次のチームの糧になったとしたら、それこそ正に「歴史を変えた」ということになるのではないでしょうか。
勝って変わる歴史もあれば、負けて変わる歴史もあるはずです。
その意味では、今回の準決勝は「歴史を変える」試合になったと思います。
変わった歴史は、これからのチームが証明してくれるはずです。
この悔しさを糧に、今回見ることができなかった頂点からの景色を、目指して欲しいと思います。
保護者の皆様、本当にお疲れ様でした。
そして、ありがとうございました。

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