小さな感激⑤

ここ数日、とても寒い日が続いています。
立春を過ぎたとはいえ、春の声はまだまだ聞こえてきません。
緊急事態宣言が延長されてから、一日あたりの感染者の減少が続いています。
まだまだ油断はできませんが、我慢をするなら我慢した甲斐があった方がいいですよね。
一進一退の繰り返しかと思いますが、着実に感染者の減少が続いていってくれることを願っています。

先週、学校の代表アドレスに届いた一通のメールが、私宛に転送されてきました。
差出人は、21年前、私が本校に来て初めて担任をしたクラスの女子生徒、Hさんでした。
本校での勤務を始めて2年目だった私は、今思うとずい分突っ走っていたような気がします。
目の前の生徒たちを何とかしようと、とにかくがむしゃらに生徒と付き合っていた時代でした。
彼女からのメールには、当時の思い出がたくさん書かれていました。
今は改変されて存在していませんが、当時のクラスはグローバルメディアコースというコースで、その一期生の担任が私でした。
私のクラスには、ラグビー部の初代マネージャーの女子生徒が2人いて、彼女はそのうちの一人でした。
「覚えていますか?」とのメールでしたが、なにしろ初めての担任だったので、そのクラスの生徒のことはとてもよく記憶に残っていました。
文化祭で作った強烈な匂いのタイカレーや、修学旅行で行ったオーストラリアのホームステイのことなどの思い出がたくさん書かれていました。
中でも文化祭で作ったオレンジのクラスTシャツを、今でも部屋着として使っていることに感激しました(!)

彼女を2年間担任し、最終学年は別のクラスでしたが、東洋大学へ進学したことまでは覚えていました。
その後のストーリーを聞いて、びっくりしてしまいました。
もうすでに30代後半になっているはずですが、大学卒業後、翌月にはアメリカへ渡り、5年後にヨーロッパへ移住し、今はスイスで家族と一緒に暮らしているそうです。
さらに驚きなのは、イラストレーターとして仕事をしているとのことで、ダブルトリプルの驚きでした(!)
当時から英語に強い興味を持っていましたが、本当に海外で生活しているとはびっくりです。
20年以上前の卒業生とは言え、そのグローバルな活躍を聞いて、本当に嬉しい気持ちになりました。
そして、とても誇らしい気持ちになりました。
教員である私の一番の喜びは、卒業生の元気な様子を知ることです。
それがたとえどんな立場であろうとも、自分の足でしっかりと自分の人生を歩んでいることを知ることです。
それが私にとって、何よりのごほうびです。
どんなプレゼントよりも、一番嬉しいプレゼントです。
教員という仕事は、ゴールがない職業です。
高校を卒業させることや、大学へ進学させることがゴールではありません。
高校卒業後、どういう人生を歩んでいくのか…、その手助けをどれだけ出来たのか。
そこにこそ、ゴールがあるのだと私は思っています。
授業を通じて知識や技術を教えることだけではなく、自分の生き様を通じてその道筋を示すことこそが一番のゴールだと思います。
そうした意味では、彼女の現在の様子を知ることは、自分のゴールの一端を見ることが出来たともいえます。
だからこそ、とても嬉しかったのです。
改めて、自分の原点を彼女のメールで確認することができました。
これからもっともっと充実した人生を歩んで行ってくれることをお祈りしています。
とても嬉しいメールをありがとうございました。

   Hさんの住んでいるスイスの都市ルガーノ
   南スイスにある湖の綺麗な町だそうです。

 

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