セッケン合成の実験 理数科教育

本校は理数科教育にも力を入れています。過日このサイトで取り上げた生物研究会の際立った取り組みもそうした教育の成果の一つと考えています。

 

今回授業観察の一環として化学の実験の授業を見ました。

10月から各クラス、各先生の授業を見始めて、本校の1年から3年までの全クラス34クラスの授業、および常勤の全員の先生方の授業を見ました。

 

生徒に関しては大変前向きに取り組んでいる生徒が多く感心しました。また、先生方に関しては、積極的にICTを取り入れたり様々な活動を通して生徒の知識の定着に腐心したりしている先生も多く、いかにして生徒の学力を伸ばすか工夫している授業がたくさんありました。非常に好印象を受けました。

 

今回の授業は実験でしたので楽しみにしていました。有機化合物の油脂の単元で扱うセッケンについての実験でした。

 

最初にココナッツオイルを水酸化ナトリウム水溶液でけん化しました。そうして合成したセッケンでセッケン水をつくり、その性質を調べました。

 

セッケン水には、油を加えて乳化の様子を観察したり、フェノールフタレインで塩基性を確認したり、軟水と硬水を加えてその違いを観察したりもしました。

 

生徒の感想をいくつか紹介します。

「セッケンが簡単にできてしまうことに感動した」

「硬水を加えると沈殿物ができてしまって洗浄力を失う理由が分かった」

 

実験操作は単純なものばかりでしたが、教科書で学んだことを実際に自分の目で見ることで、生徒の理解が深まったと思われます。

自分でやってみることの大切さを実感することができた授業だったと思います。生徒の皆さん、担当の先生、お疲れさまでした。

 

 

参考 実験の流れは以下のとおりです。

◎セッケンの合成

1 目標

油脂をけん化し、セッケンを合成し、その性質を調べる。

 

2 仮説

 油脂のけん化によりセッケンが合成できる。また弱酸の塩であるセッケンの性質を確認する。

 

3 使用器具・薬品類

試験管、50mLビーカー、100mLビーカー、薬さじ、ろうと、キッチンペーパー、ガラス棒、やし油、飽和食塩水、蒸留水、沸騰石、エタノール、6mol/L水酸化ナトリウム水溶液、サラダ油、フェノールフタレイン溶液、ミネラルウォーター(軟水はふっか水、硬水はContrex)

 

4 操作

(1)試験管にやし油1mLと沸騰石、エタノール1mL6mol/L水酸化ナトリウム1mLを入れ、弱火で均一になるまで加熱する。油滴が消えるまで加熱する。

 

(2)ある程度冷めたら、飽和食塩水20mLの入ったビーカーに加えて、軽く混ぜる。冷ましすぎると、試験管内部で固体になるので注意。

 

(3)キッチンペーパーを用いて、簡易的にろ過し、セッケンを取り出す。

 

(4)セッケンをお湯に溶かしてセッケン水を作り、試験管4本に4mLずつ取り分ける。

 

(5)それぞれの試験管に油脂、フェノールフタレイン、硬水、軟水を加え、よく振って観察する。油脂とフェノールフタレインは数滴、硬水と軟水は

     5ml程度加える。

 

5 結果

(1)合成したセッケンの様子を写真に撮る。

(2)4本の試験管の変化を記録する。

 

6 考察

(1)やし油に含まれる高級脂肪酸の種類と割合を調べる。

(2)ふっか水とContrexの硬度を調べる。

(3)加熱した試験管内の液体を飽和食塩水に加え,セッケンが析出した現象を何というか。

(4)合成したセッケンに含まれる不純物は何が考えられるか。

 

なお、上記のうち、「結果」、「考察」、「実験の感想」はロイロノートのカードにまとめて提出を求められていました。生徒の皆さん、しっかりと書けたでしょうか。校長 亀山典幸

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