「読解力」日本3位に 急伸 数学的応用力5位 科学的応用力2位 PISA

今朝の朝刊各紙に掲載されていますが、経済協力開発機構(OECD)は12月5日、81か国・地域の15歳計約69万人を対象に2022年に実施した「国際学習度到達度調査(PISA)」の結果を公表しました。日本は高校1年生が参加しました。

日本の「読解力」は過去最高の3位で前回調査(2018年)の15位から大幅に順位を上げ、「数学的応用力」や「科学的応用力」の理数系分野も国際的なトップ水準を維持しました。上位の順位は以下のとおりです。

 

(カッコ内は前回2018年の順位)

【読解力】

1 シンガポール(2)

2 アイルランド(8)

3 日本(15)

4 韓国(9)

5 台湾(17)

6 エストニア(5)

7 マカオ(3)

8 カナダ(6)

9 米国(13)

10 ニュージーランド(12)

 

【数学的応用力】

1 シンガポール(2)

2 マカオ(3)

3 台湾(5)

4 香港(4)

5 日本(6)

6 韓国(7)

7 エストニア(8)

8 スイス(11)

9 カナダ(12)

10 オランダ(9)

 

【科学的応用力】

1 シンガポール(2)

2 日本(5)

3 マカオ(3)

4 台湾(10)

5 韓国(7)

6 エストニア(4)

7 香港(9)

8 カナダ(8)

9 フィンランド(6)

10 豪州(17)

 

国際学習到達度調査(PISA=Programme for International Student Assessment)は15歳を対象に義務教育段階で身に付けた知識や技能の活用力を測る調査で、2000年から3年に1回実施されています。2003年調査で読解力の順位が落ちた「PISAショック」以降、日本は成績を世界上位に戻し維持することに力を入れてきました。

 

PISAの読解力問題では図表が多用され、文章以外にも様々な資料から情報を読み取り表現する力が必要となります。2007年に小中の全国学力テストが復活し、思考力や表現力を測る設問を並べ、現在の学習指導要領で探究的な学習話し合いの授業が求められています。

 

今回の調査は新型コロナウイルス以降初めて実施されたPISAになります。OECDはコロナ禍が世界の子供たちの成績低下に影響した可能性があるとの見方を示しています。「3か月以上休校した」と回答した生徒の割合が少ない国・地域は、より多いところに比べて得点が高い傾向にあります。

 

OECDの教育・スキル局長も「休校と成績低下に相関はある」と認める一方、休校中も遠隔教育や教員のサポートなど学習を補完する環境を整えダメージを少なくした国もある」としています。

 

【得点向上の要因】と【課題】について各紙、あるいは識者の主張を見てみます。

【得点向上の要因】

〇話し合いの授業を求める新しい学習指導要領で授業改善が進んだ。

〇学校のデジタル環境整備により生徒がパソコン形式の出題になれた。

〇「学校でのICTリソースの利用しやすさ」が加盟国中5位と、パソコンなどを活用する割合が加盟国最下位だった前回調査より環境整備が大幅に改善された。

〇授業中のICT機器の利用で注意力が減らない。

生徒が自分で考える課題を増やし、思考力を鍛えてきた結果

 

【課題】

〇デジタル利用頻度低い。

〇データ分析に不慣れ。

〇実生活の中で数学的な考え方を用いて問題を解釈、解決する学習。

〇環境を生かし切れていない。「授業でデジタル機器をどのくらい利用するか?」

 「全てや半数以上」と回答した割合 

         国語15.2%(加盟国平均27.3%)10ポイント以上低い。

   数学16.1% 

   理科22%   数学と理科は8ポイント低い。

〇「ICTを用いた探究型の教育頻度」の指標は加盟国中最下位29位。

〇ウエブページを作成したり、トラブルが起きた際に原因を特定したりできる自信は加盟国平均より10ポイント以上低い。

〇推論や問題を解決する力。

 

 

識者によれば、上位層には学校で高度な問題を準備するなど、世界で活躍できる人材の育成につなげることや、下位層が「数学好き」でいられるような授業ができるかも、更なる学力の向上のカギとなるとのことです。

 

教員がチョークとトークで教え込む授業から、生徒がデータを基に主体的に考える授業へと変えていかないといけない」述べています。

 

国内では、理系人材の不足が問題となっており、今回の良い結果を将来につなげられるかが課題となります。大学入学者のうち理工系分野の割合は、日本は17%でOECD平均の27%を大きく下回っています。国の試算ではIT人材が230万人不足しているとされています。

 

識者は「理系に意欲がある生徒の能力を伸ばしていかないと、日本の科学技術が衰えてしまう。探究活動を授業に取り入れたり、大学側も高校生に研究の魅力を伝えたりするなど生徒の関心を高め続ける努力が必要だ」としています。

 

本校も今回の結果を真摯に受け止め、良い点は更に伸ばし、改善すべきは早めに改善していければと考えています。また、生徒の皆さんにおいては、世界基準で見たときに不得手とされる部分に関しては、各自、仲間や先生の支援も受けながら、自ら改善に努めてほしいと思います。校長 亀山典幸

  参考 読売新聞 日本経済新聞 埼玉新聞

 

写真は、iPadを使った本校の英語や数学の授業やパソコン室A、パソコン室Bで行われている情報の授業の様子。

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